■ prosper?
prosper はプレゼンテーション用のスライドを作るための LaTeX のクラスです。
TeX だけで PowerPoint のようなスライドを簡単につくることができますので、
特に数式を使うプレゼンテーションでは威力を発揮します。
(論文や講義ノートに使った TeX 原稿が流用できる!)
また、最終的には PDF ファイルになり、ポータビリティにも優れています。
■ Install
以降、OS は Windows XP Pro、
TeX for Win32 (角藤版) Web2C 7.4.2 + GNU Ghostscript 7.05
がインストールされた環境を仮定します。
ディレクトリー構成は環境によって違いますが、ここでは C:\usr\local\ptex 以下に TeX のシステムが、
C:\usr\local\ptex\gs 以下に Ghostscript がインストールされているとします。
必要に応じて適宜読み替えてください。
- downloadページから
(なければ上記の homepage からリンクを辿って)、
最新版(2005/11/3 時点では prosper-1.00.4.tar.gz)をダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを展開し、.sty ファイルと .cls ファイルを
TeX のクラスファイルが置いてあるところにコピーする。
面倒くさければ無作法だがクラスファイルが置いてあるフォルダー
( C:\usr\local\ptex\share\texmf\tex\latex\misc )
でダウンロードしたファイルを展開してしまう手もある。
(C:\usr\local\ptex\share\texmf\tex\latex\misc\prosper フォルダーができ、その中にクラスファイル等が入っている。)
- mktexlsr を実行する。( C:\usr\local\ptex\bin\mktexlsr )
以上です。
使い方は、展開した prosper フォルダーの doc にサンプルやマニュアルを参考にしてください。
また、Webページも参考になります。
■ PDF 化のための準備
prosper は最終的に PDF ファイルにしたものをプレゼンテーションに使います。
- LaTeX原稿 --> dvi ファイル --> PS ファイル --> PDF ファイル
「dvi ファイル --> PS ファイル」には dvipsk を使い、
「PS ファイル --> PDF ファイル」には Acrobat Distiller または ps2pdf を使います。
「PS ファイル --> PDF ファイル」の部分で、
- Acrobat Distiller を使う場合は特に準備はありません。Distiller をお持ちでしたら、こちらがお奨めです。
- ps2pdf を使う場合は日本語フォントに関連して準備が必要です。以下のようにします:
- Ghostscript を GNU Ghostscript 7.07 に入れ替える。(7.05 でも手をかければ出来ますが、労力の割にはいまいちなので、入れ替えてしまうのが手っ取り早い。)C:\usr\local\ptex\gs フォルダーを丸ごと削除し、代わりに同じフォルダーに 7.07 をインストールする。
- W32TeX (角藤さんの大学のページ)(のミラーサイト)から最新版の GNU Ghostscript 7.07 の W32 バイナリ(2005.11.4現在gs707w32full.zip)をダウンロードする。
- 展開後、setupgs.exe を実行する。Install to directory に 7.05 を入れておいたフォルダー(c:/usr/local/ptex/gs)を指定する。
- (C:\usr\local\ptex\gs\gs7.07\)lib\gs_res.ps ファイルの 249, 250 行目をインストールしたフォルダーに合わせる形に書き直す。
- 環境変数 GS_LIB、PATH を書き換える。
GS_LIB=C:\usr\local\ptex\gs\gs7.07\lib;C:\usr\local\ptex\gs\fonts;C:\usr\local\ptex\gs\gs7.07\kanji
- Ghostscript のフォルダー(c:\usr\local\ptex\gs\gs7.07)に、Resource というフォルダーをつくる。更に、その下に、CMap、CIDFont、Font フォルダーをつくる。
Resource
Resource\CMap
Resource\CIDFont
Resource\Font
- acro5-cmaps-2001.zip 及び
adobe-cmaps-200204.zip
をダウンロードする。
- acro5-cmaps-2001.zip を展開し、CMap フォルダー以下をそのまま、上でつくった Resource\CMap にコピーする。
- 同じく adobe-cmaps-200204.zip を展開し、(adobe-cmaps-200204\)CMap フォルダー以下をそのまま、上でつくった Resource\CMap にコピーする。その他のフォルダー、ファイルは不要です。
- ps2pdfxx.bat(c:\usr\local\ptex\gs\gs7.05\lib\ps2pdfxx.bat)ファイルをサンプルに従って書き換える。もしくはサンプルをダウンロードし、上書きコピーする。
■ PS ファイル化
dvipsk -t a4 -Ppdf -z -f ファイル名.dvi | bkmk2uni > ファイル名.ps
(注1) 単に dvipsk で変換しただけだと、しおり部分が文字化けします。
これを回避するために PS ファイルの段階で、bkmk2uni にかけて処理します。
この bkmk2uni ですが、古いパッケージには入っていないので、
自分のシステム(C:\usr\local\ptex\bin)に bkmk2uni.exe が入っているかどうか確認してください。
もしなければ
- W32TeX (角藤さんの大学のページ)(のミラーサイト)から最新版の dvipsk-w32 のパッケージ dvipsk-w32.tar.gz をダウンロードする。
- ダウンロードしたファイルを展開し、bin フォルダーに入っている bkmk2uni.exe を自分のシステムのパスの通ったところ(例えば c:\usr\local\ptex\bin)にコピーする。
■ PDF 化(Acrobat Distiller を使う場合)
PS ファイル --> PDF ファイル
start ファイル名.ps
(注2)
- Distiller で変換後、自動的に Acrobat で表示させるようにするには、Distiller の「ファイル|環境設定」で、「Distiller で変換後に PDF を表示」にチェックを入れておく。
- ページ右端が切れる場合は、Distiller の「設定|Adobe PDF 設定の編集」の「一般」ページで、「デフォルトのページサイズ」の「高さ」を大きくしておく。
- 「名前を付けて保存」しておくとよい。
以上をまとめた「dvi ファイル --> PDF ファイル」変換バッチファイル:mydvipdf_distiller.bat。引数に dvi ファイル名(拡張子 .dvi を除く)を指定する。
(注2) 拡張子 .ps が Distiller に関連付けされている場合。
また、これは Windows の拡張機能を使っているので、Windows XP 以外の場合や、.ps が Distiller 以外に関連付けされている場合は、start の代わりに Distiller のパスを指定して、
"C:\Program Files\Adobe\Acrobat 6.0\Distillr\acrodist.exe" ファイル名.ps
等とするとよい。
■ PDF 化(ps2pdf を使う場合)
PS ファイル --> PDF ファイル
ps2pdf -sPAPERSIZE#a4 ファイル名.ps ファイル名.pdf
(注2)
以上をまとめた「dvi ファイル --> PDF ファイル」変換バッチファイル:mydvipdf_ps2pdf.bat。引数に dvi ファイル名(拡張子 .dvi を除く)を指定する。
■ EWinTeX3 で使う
- Distiller を使う場合は mydvipdf_distiller.bat を、ps2pdf を使う場合は mydvipdf_ps2pdf.bat をそれぞれパスの通ったところ(例えば、C:\usr\local\ptex\bin)にコピーしておく。
- EWinTeX3 のバージョンが 0.650 未満の場合は 0.650 以上のものにバージョンアップする。
- EWinTeX3 の「設定|外部アプリケーションの登録」を選ぶ。
- 「外部アプリケーションの登録」ダイアログで「追加」ボタンをクリックする。
- 「外部アプリケーションの編集」ダイアログで、次のように入力する。「備考」は自分用の覚書を書く(必要なければ空欄のままでよい)。
Distiller を使う場合:
- メニュー項目名:dvipdf
- アプリケーション・パス:mydvipdf_distiller.bat
- オプション:%TG
- 起動時フォルダー:%TR
- 備考:
ps2pdf を使う場合:
- メニュー項目名:dvipdf
- アプリケーション・パス:mydvipdf_ps2pdf.bat
- オプション:%TG
- 起動時フォルダー:%TR
- 備考:
- 「OK」「OK」でダイアログを閉じる。
- 「設定|TeXとプレビューワーの設定」を選び「TeXモジュールの設定」ダイアログの「代替外部アプリ」で上記の「メニュー項目名」に記入した「dvipdf」を選ぶ。
- 「OK」でダイアログを閉じる。
以上により、EWinTeX3 で TP や T2P をした際、TeX コンパイル後、プレビューワー(dviout)が起動する代わりに、mydvipdf_distiller.bat(mydvipdf_ps2pdf.bat)が自動的に起動し、PDF 化、表示を行ってくれるようになります。
(注)TP や T2P する前に、Acrobat (Reader) は閉じてください。
PS ファイルから PDF ファイルを作るのに時間がかかる場合があります。
このような場合は、草稿の段階では PDF 化せず、(アニメーション等の確認は出来ないかもしれませんが)GSView 等を使って表示し、最終段階になってから PDF 化を行うようにするといいかもしれません。
拡張子 .ps に GSView が関連付けられている場合、上記の mydvipdf_distiller.bat を使うと、(その名に反して PDF 化しないで)GSView で PSファイルを表示することになると思います。
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